その少女はいきなり乗ってきた
タンタラスの丘に景色を眺めに行った帰りだ
タクシーに乗っていた僕らに運転手が
『あの子を乗せてもいいかい』
そう聞いてきた
するとそこにはまだあどけなさが残っている少女が
坂をポツポツと降っていた
僕はあまりこだわりがない
これも旅の思い出だと思い
運転手に『イイですよ一緒に乗せてあげてください』
そう言った
すると運転手はニコリと笑い少女の真横でタクシーを止めた
少女はこっちを向いてニコリと笑った
運転手が『カモン』そう言うと少女は嬉しそうに乗ってきた
僕達はその少女と少しだけ話しをした
小学校の4年生で、学校の帰りらしい
いつもこの坂を降るのが疲れるとこぼしていた
坂を降りる途中、少女のクラスメイトを追い越した
その時少女が窓を開けて何かを叫んでいた
それが何かは聞き取れなかったが
とても楽しそうで、見ている僕もなんだか嬉しい気分がした
坂を下りると少女は僕達に一礼をして路地に消えていった
少女が降りていった車内には少女の残していった爽やかな雰囲気が漂っていた
僕達はこの島がまた少しだけ好きになった
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